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再び岩の国へ2 [ア−トとの遭遇]

アルメニアは高地にある国です。そしてエレバンはそんな全体が高地の国の中に、お盆の様に鎮座しています。画像を見ると背景が途中でぐぐっと高さを増しているのが見て取れるんじゃないかと思います。まさにお盆の縁です。
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ソ連からの独立の混乱期にスピタクの大地震が重なり、さらには周辺国との戦争も何度かあり、ここ10年ぐらいでやっと成長する準備が整ってきたのだそうです。なので古くて美しい建物が朽ち果てていく横で新しいビルもどんどん建てられています。
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今回私たちが宿泊したホテルも2年前に工事中だったビルでした。14階のホテルの部屋のベランダから見えるエレバン中心部。古い家がどんどん潰されているのがよく分かります。近代的なビルの方が便利なのは確かですが独特の美しい建物が滅びていくのはとても切ないものがあります。
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さてさて、今日は芸大ホールと工芸博物館のオープニングが時間差で開かれます。ドキドキしちゃう。
まずは芸大ホールから。実は私、ちょっとしたトラブルがあり遅れて会場に行ったので、到着した時にはアルメニア人、日本人、入り混じって大盛況の状態でした。
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私はこの会場には藤色の着物の少女人形を展示しました。今回のために華やかさが増すよう杏色の帯締めを足し、桜の枝(造花ですが精巧に作られたものを見つけました)を持たせました。
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なんと真正面の一段高いステージのど真ん中に展示して頂けました。きゃー!特等席!着物を着ていたからかなあ。やったー。
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両サイドはアルメニアの作家さん達の作品。ガラス作家さんの、鉄も使った衝立の作品がとてもきれいでした。
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芸大生たちもたくさん見に来てくれて、私の人形はとても喜ばれ、一緒の写真に納まるように頼まれて何度も記念写真を撮りました。私の人生で、こんなアイドル並みのモテ期が来ようとは!人形を作っていて良かった…。
にわかオバちゃんアイドルは次の会場を目指して後ろ髪をひかれつつ芸大から工芸博物館へ移動。
ここは建物もそこらじゅうに展示してある工芸品もとても素敵で、パラジャーノフ博物館の次ぐらいに好きな場所です。階段の途中の嵌め殺しの窓の鉄枠さえも繊細に美しい。
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レセプションが始まるちょっと前に到着しました。窓から入ってくる日差しが清々しく、長野に似ているなあ…と感じました。空気が澄んで冷たく緊張感があるところ、湿気が少ないところ等、気候が似ているのです(アルメニアの方が冬は比べ物にならないぐらい過酷なのですが)。
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私の展示は前回と同じ場所です。今回はアルメニアの人形作家さんと交互の展示となりました。
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昨年にアルメニアドレスの人形を作った時、彼女らをこの博物館に連れて行きたいと強く願っていたのでとても嬉しい。素晴らしい収蔵品のあるこの博物館、ここで展示をしても恥ずかしくないものを作たかった。私が日本の着物の生地を使って作ったアルメニアドレスの少女をアルメニアの皆さんはどう感じるのでしょうか。
アルメニア作家さんの作品を挟んで二人の少女が呼応するようなポーズで展示しました。
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アルメニア人作家さんの人形はスキタイの王様と妃たち、チンギスハーンと妃たち、だそうです。チンギスハーンの妃の一人は日本人だとかで、そういえば日本風ですね。でもそんな話は私ら日本人達はみんな初めて聞いたのですが、ホント?
開会のあいさつには日本国大使が来て下さいました。早めに来て下さったので、作品の説明なんかさせていただきました。2年前にアルメニアのギャラリーオーナーさんが私の振袖のお人形の着物の模様を見て「アルメニアの模様と共通するものがありますね」と言った事、ハチカル(アルメニア独特の美しい模様彫刻のある石碑)を見た時、絞りで作り出す模様と似ていると感じたこと、帽子と胸当てに使った西陣織は京都の職人がペルシャやトルコなど(つまりアルメニアを中心としたあそこら一帯)の高価な絨毯や敷物を研究した織物であること…等々。絨毯云々は昨年の個展時に近世のそういった風俗研究をしている方からの受け売りですが、ね。
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しかし私のこの話を聞いた大使は『よっしゃー!今回のご挨拶の掴みはコレでいける!』と思ったんでしょうね、さっそく皆さんに向けてスピーチ。私もお話した甲斐がありました。Tさん、あなたからの受け売り、大使にも売りましたよ。
 私のアルメニアドレス人形は大変好評で、皆さんとても嬉しそうに褒めてくださいました。「こんなのはアルメニアのドレスじゃない!」と冷笑されるかと心配していましたが、男性も女性も、若い人も年上の方も、大変喜んでくださり、ここでも「にわかオバちゃんアイドル」になれました。

賑やかで晴れがましいオープニングを2つこなし、私たち日本人達は公園の中の素敵なカフェで一休み。そこで、その日がお誕生日だという人が2人いることが判明。カフェのお兄さんにお祝いのケーキになるようなものがあるかと相談したところ「任せろ!」。しばらく待っていると素敵に盛り付けた果物のお皿が!
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そして一人用のケーキを組み合わせて華やかにしてろうそくと花火を飾り付けてくれた物を運んできてくれました。
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こういう細やかな心使い、優しい気持ち、「アルメニアあるある」なんですよね。
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